まダニ

マルコの耳におかしなものが出来ている。
黒っぽく、弾力がある、小豆ほどの大きさである。
マルコ自身はいたくもかゆくもなさそうである。
なんだかよく分からないが、とにかく取り除こう。
ティッシュペーパーでつまんで取り除こうとするが、ふにゃふにゃしていることもあり、なかなか取れない。何度か挑戦して、やっと取り除くことが出来た。
のぞいていた我が山の神が声を上げた、
「動いている」
よく見ると、小豆大の体から小さな足が出て動いている。
「ダニだ」
しかし、こんなに大きくなるダニは見たことがない。ふくらんでいる体の殆どはマルコの体から吸った血液らしい。
自分の体と比べて、遙かに多量の血液を吸って、そのダニ自身はもう動くことは出来なかった。

そのダニを持って、すぐに近くの動物病院へマルコを連れて行った。
他の犬も来ていたが、マルコは驚くほど「良い子」だった。待合室で、指示通りじっと座っている。
「えらい」マルコは、もしかして名犬か？
獣医さんにダニよけの薬を付けてもらって一安心。

マルコは、８月６日で満１１歳になった。平均的な寿命から考えてあと５年ほどの命と思うと少し寂しい。

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