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風林火山 [シルバーウィングでGO]

風林火山と聞けば武田信玄だ。ところが井上靖の「風林火山」の主人公は武田信玄ではない,山本勘助だ。
小説に描かれる勘助は現在の感覚で言えば極悪人だ。裏切り,人殺しなど非道の限りを尽くすいわば人でなしだ。
井上靖は,勘助を生まれてから誰にも愛されたことがなく,誰も愛したことがない人物として描いている。勘助が血も涙もない人間になったのはその為だ。
その勘助が三人にだけは愛を注いだ。主の信玄とその妾,そしてその子勝頼だけである。信玄に懸命に仕えたのは,自分でも考えもしなかったほど信玄に信頼されたからであり,妾はその余りの美しさと彼を頼るわがままが彼に生き甲斐を与えたからである。そして,勝頼から受けた肉親に近い感情が彼を変えていく。
勘助が信玄に仕えたのは,当時で言えばすでに晩年だが,その年になっても人間とは変わりうるものだということを井上靖は書いている。
昨日,道徳の教科化を論ずるに当たって,人間性の原型は幼少期に形作られると書いた。ただ,この小説は,人間は出会いによっては高齢になっても変わることができるかもしれないと言っている。ただし,勘助は例外中の例外と考えるべきだろう。

動かざる と言えばこの山だ
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