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Aではない君と読了 [シルバーウィングでGO]

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薬丸岳の「Aではない君と」を読んだ。この著者5月に読んだ「友罪」のように,犯罪加害者とその周辺の人物の苦悩を取り上げ我々に非常に重い問題提起を続けている。
前回読んだ友罪では20年前の神戸連続児童殺傷事件を扱っていたが,この小説も友達を殺害してしまった子供の父,母,弁護士などが苦悩の中で加害生徒に関わっていく姿を描いている。
加害生徒は両親の離婚がもとで小学校を卒業間際に転校する。転校し,直ぐに中学校に入学。はじめは何事もなく過ごしていたが,ある時,周囲からは仲がよいと思われていた生徒を殺害する。しかし,警察に保護された加害生徒は経緯を一切話さない。そこから,離婚した両親の苦悩が始まる。なぜそんな事をしたのか,なぜ何も語ろうとしないのか。
最後に明らかになるのは,加害生徒が被害生徒とその友達から陰湿ないじめを受け続けていたことだった。
その事実もあり少年は審判で裁判所に逆送されることはなくなり,2年の少年院入院後社会に出た少年は生き生きと働く場所を見つける。しかし,父親は加害者である自分の子供が友達を殺したことを心の底から悔いていないことに気づく。父親に諭された子供が最後に,被害者の家に謝罪に行きついに贖罪に目覚めるという結末だ。
さて,現実でも同じような事件が起こっている。この本のような事情ではないにしても,少年が少年を手にかける事件が報道される。その度に,報道では見えないところで加害者の親や家族の苦悩,被害者側の肉親などの悲しみややりきれなさがエンドレスに渦を巻いているだろう。
著作者薬丸岳は,少年による事件を取り上げながら,子供を育て,子供を護るということはどういうことかを読者に考えてほしかったのだろう。また,少年の父親のように,正面から問題に立ち向かう勇気と気力がありますかと問いかけているのかもしれない。
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