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光秀の定理再読 [シルバーウィングでGO]

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「信長の原理」の続編と言うには時間を遡ってしまうが,同じ作者の小説,「光秀の定理」を読んだ。この小説は今年の2月にも読んでいるが,その時は「信長の原理」は読んでいなかった。今回,「光秀の定理」は,「信長の原理」との対比を常に意識しながら読むので,当然読み方が違ってくる。
さて,定理とはAならBであるのような命題が成り立つことをさしていると思ったが,小説の中に出てくる定理らしい内容ははっきりした輪郭がない。信長の原理のときは働き蟻に当てはまる規則性だったが,光秀の定理で扱われるのは確率の問題だ。
登場する僧,愚息が市中で賭をする。その賭はトリックを使ってはいないのに最後には愚息が勝ってしまう。その仕組みを愚息は光秀や剣客・玉縄新九郎に考えさせようとする。ところが光秀も玉縄新九郎もどうしてもわからない。
戦場で信長に山城攻撃を命じられ,路の選択で愚息の問題と同じ場面に直面した光秀は,愚息に頼んで問題を解かせ,城の攻撃に成功する。それを聞きつけた信長が愚息が説明させると,光秀より先に信長が理屈を理解してしまう。信長に説明されて,光秀もやっとその仕組みを理解したという流れだ。
現在では高校数学で扱う確率の問題だから,受験生に解かせるとたちまち正解するかもしれない。しかし,小説の設定の時代は400年以上も前の話だ。学問が系統立ていない時代,自分の頭だけで確率の仕組みを見つけることはかなり難しかったのではないだろうか。
私も考えてみたが最初は光秀と同じようなところでつまづいてしまった。作者(=愚息)の誘導に引っかかっていたわけだ。
なお,愚息と玉縄新九浪は垣根涼介が架空の人物を小説の中に登場させたのだろうが,史実とフィクションがおもしろく融合できているストーリーだ。読む人によっては,愚息と玉縄新九郎が実在した人間だと思いこむかもしれない。
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