古河総合公園

「しばらくシルバーウィングにも寂しい思いをさせているなあ。明日は天気も良さそうだし、ちょっと出かけてこようと思う。」
「え、一人で？私もシルバーウィングに乗りたいわ。何処へ行くの。」
「何処って決めている訳じゃないけれど。」
結局、シルバーウィングに乗って、我が山の神と古河市の総合公園に行ってみることにした。取り立ててここが良いということではなかったが、それほど遠くないし、フクロウがいるという噂を聞いたことがあったので、もしかするとフクロウの写真が撮れるかも知れないなどと考えたからである。
翌日は朝方から良い天気だった。しかし、天気は良いが朝方はややひんやりする。日中の最高気温は２５℃くらいにまでは上がるようだが、２０℃程度の気温では、シルバーウィングに乗るとかなりの寒さを感じてしまう。風対策は十分にした。
いよいよ、シルバーウィングの力を発揮する時間。ややメタボ気味の私と我が山の神でもシルバーウィングは軽々と運んでくれる。あ、間違いのないようにお断りするが、我が山の神はメタボとは全く縁がないので念のため。
古河の総合公園は、なかなか良いところだった。側を通る３５４号線は通ることよくがあるが、この公園に立ち寄ったことはない。
公園の駐車場は結構広かった。二輪車用の駐輪場もあったが、シルバーウィングは入っていくことが出来なかったので、乗用車の駐車区域に停めさせてもらった。
今回は我が山の神もカメラを持った。Ｘ２に24-105 F4Lをつけて、もしかするとまた私より良い写真を撮るかも知れない。
公園の中を歩き始めてすぐに、古い農家が見えてきた。ふたつの農家に至る小径の脇は茶畑である。
「蜂が飛んでいる音がするよ」
我が山の神の指す方を見ると、大きな蜂。スズメバチだった。
「大丈夫、蜂の巣がそばにない限り、蜂は襲ってこないから」
「本当？でも恐い」
それはそうだ。あんな大きな蜂に刺され出もしたら、へたをすると命に関わる。幸いスズメバチは、自分たちのえさ探しに夢中だった。

二つの農家はかなり古いつくりである。一つは、南部曲がり屋のような作りだった。一つの農家に中に入ってみると、様々な農機具、生活用具が展示されている。保存状態もかなり良いようだ。
私も我が山の神も生まれが農家ではないので詳しい知識はないが、それでも近所の農家が使っていた様々な道具類を覚えている。

子どもの頃は「農繁休業日」という休みがあった。春先の田植え時期と秋の稲刈りの頃だ。農家ではない子ども達は、学校で先生から近くの家の手伝いに行きなさいと指示をされていた。手伝いに行った記憶もあるが、薄ぼんやりした記憶である。あまり熱心に手伝わなかったのかも知れない。もしかすると、「あっちで遊んでて」と大人から言われたのかもしれない。何しろ、我がお袋様からは「役に立たなくても良いから、邪魔にはなるな」と言われていた子どもだった。それでも、農家の家の様々な道具類はある程度覚えている。
　これは一斗ます、これは縄ない機、これはガーコン、これは唐箕などなど、よくこれだけの農機具を保存しておいたものだと感心する。
　古い道具でも、今の技術に通じるものが沢山ある。唐箕の送風の技術は今もヘアドライヤーなどに生きている。今の、高価なハイテク炊飯釜は、昔からのかまどの加熱とあの重い蓋で炊きあげる炊飯の方法を現在に再現しようと試みた電気製品である。

　農家を後にして「芋ころがしの坂」を下っていくと公園の外に出る小径があった。

そこに「ハーブ」という看板があったので、ちょっと横道にそれて見た。今は時期ではないらしく、「ハーブ館」のお店も閉じていたが、秋のハーブもなかなかきれいだった。
特にラベンダーとほうき草は見事だった。




ほうき草もハーブか？と思ったが、ほうき草の実はとんぶりといって食べられるようだ。それでハーブという仲間に入っているのかも知れない。
　「ハーブ館」を過ぎると池があり、池には金魚藻の花が咲いていた。おそらく、時期は過ぎているのだろう。所々にぽつん、ぽつんと咲いていた。しかし、この小さな花が、実に素敵だった。可憐という表現以外に思いつかないほど可憐だった。本当なら近づいてタムロンの90mmで等倍撮影したいほどだったが、池の中なので望遠での撮影となった。




「この公園、なかなか素敵ねえ。季節によって、それぞれの良さがあると思うわ」
「晩秋以降は、鳥もたくさん見ることが出来るんじゃないかしら」
我が山の神はご機嫌だった。確かにそうだ。季節によって様々な公園の顔を楽しむことが出来そうだ。
　噂のフクロウに対面することは出来なかったが、また訪れてみたい場所だった。
http://www008.upp.so-net.ne.jp/bunkoh/