徒歩→自転車→車→

若い頃，ちょっとした冒険心がまだ残っていた頃の話だ。30歳記念に100キロぐらい歩いて帰省しようと岩手の宮古まで電車で行き，そこから国道45号線をてくてく歩いて自宅に向かった。夜はテントを張って野宿。このときは連日の雨で，足に出来た豆に苦しんだ。我慢して歩いているとなんとかなる。しかし，休んでいったん靴を脱ぐと次に歩き始めるのが大変だった。苦痛が何倍にもなる。まあ，それでも海岸沿いの100キロを4日で何とか歩き通した。
その途中で見た岩手県警の白バイが凄かった。ちょっと引っ込んだところに2台の白バイ。なにも知らない車が結構なスピードで通る。見交わす二人。「じゃ仕事だね」と2台の白バイが猛スピードで車を追いかける。車も見えなくなっていたがとても白バイからは逃げきれなかっただろう。
さて次の年，「歩きの次は自転車だな」とキャンプ道具を積めるドロップハンドルの自転車を買った。今度は国道4号線を北に向かう。このときは，北上山地越えが大変だった。生身の人間だけではなくキャンプ用具一式を積んでいるから結構な重さだ。しかし，このときはある呪文が役立った。上りはいいなあ，この上りが終われば下りだとつぶやきながらペダルを踏む。下りになると，下りはいいなぁ，この爽快感は最高だと声にしながら下りをすっ飛ばす。
このときの体験では，自転車は体力的には夜間走った方が距離を稼げた。もちろん暑い日中を避けるという意味だ。日中走ると腕がいつの間にか白くなっていく。汗の塩がたまるからだ。しかし夜間の走行は危険だ。大型トラックが気が狂ったようにギェーンとすれすれを飛ばしていく。
歩き→自転車と来ると次の年は必然的に車だ。ところがこのとき私はまだ免許がなかった。それで，自動車学校に申し込んだ。が，それっきり忘れてしまって一月以上放置。思い出して通い始めたのが帰省の半年ぐらい前だったか。車は免許取得前に友達に選んでもらった中古車を購入しておいた。免許を取った足で中古車販売店へ行って乗って帰った。
帰省は道がよく分からなかったので岩槻から高速に乗った。確か，滝沢村で降りて岩手町，葛巻経由で帰ったんじゃなかろうか。どんなに急いでも10時間はかかっただろう。今だと，九戸インターまで行けるから，そこから1時間半だ。じゃぁ行けるかというと，とてもじゃないが疲れてだめだ。帰省は新幹線に限る。大宮から二戸まで行ってそこからバスで1時間とちょっと。ああ，ふるさとは遠きにありて思ふもの，になっちゃったなぁ。あれ，今日は何の話だったっけ。

コメント 1

大変面白かったです。
夜の移動・・・これって、”アラビアのローレンス”　でも、砂漠の東⇒西へ横断してトルコ軍の拠点アカバを落とした時がそうでした。
by LargeKzOh (2020-09-10 11:34)