ＩＲ

「パチンコに今までどれぐらい使ったんだい」
私が聞くと彼はちょっと考え込んだ。どうやらかなり使ったらしい。以前，最高で３０万円以上儲けたことがある話を聞いていた。ただし，儲けたこともあるはずだが損した金額はそれを遙かに上回るはずだ。
「家，一軒分ぐらいかい」
「うん，それぐらいにはなるかなあ」
ゴルフを一緒に回ったときの話だ。
そのかれがカジノには反対だという。
「パチンコを博打だと言わないのは，あれはおかしいよ。それに，パチンコは胴元が９割もってっちゃうんだよ。ほかの競馬や競輪，宝くじなんかの公営賭博は胴元は３割ぐらいだろ。」
彼は続ける。
「国がカジノをつくるって言ってるけど，国民に賭博はやるなって言うのが本当だろう。やれって言うのはおかしいよ」
パチンコ好きの彼が言うから妙に説得力がある。
政府が進めようとしているカジノ法案は，表面(おもてづら)は変えているようだ。ＩＲ法案と宣伝しているらしい。Ｉはインテグレートの頭文字だそうだ。要するに統合型リゾート地という仮面を付けている。しかし，中身は間違いなく巨大賭博場を全国数カ所に作ろうという考えだ。カジノは主に外国からの観光客向けで，日本人は入場者を制限するという考えもあるそうだ。要するに，一定以上の収入，資産がなければ入れないという仕組みだ。まあ，大王製紙のおぼっちゃまは顔パスだろうが，市井の人間で入りたいと思えば，納税証明書が必要になるということだろうか。非課税証明書なんか持っていったら玄関払いと言うことだ。ただし，こんなやり方は憲法違反の疑いが濃い。憲法では国民は平等であり経済的関係でも差別してはいけないことになっている。
日本人にも開放されると，そのうちにカジノ依存症が社会問題になり，高級車に乗った怖いおじさんたちが黒い服にサングラス姿でカジノ周辺で縄張り争いを繰り広げるだろうなあ。

カジノ談義は丘の上