久しぶりに [シルバーウィングでGO]
風邪をひいてしまって、この寒風の中、我がシルバーウィングを動かすことができないでいた。
私が風邪を引いて、我がシルバーウィングは寂しそうなことこの上ない。心配になって、ある朝カバーを取り除いてエンジンをかける。
ブルルン、ストンとエンジンはかからなかった。バッテリーが上がった状態だった。これも、しばらくほっぽりっぱなしだった私のせいである。
車のバッテリーと直結してエンジンはかかった。しばらくして、どうやら我がシルバーウィングも元気を取り戻したようではある。
「どれ、久しぶりにその辺を走ってみるか」
カメラを積んで、自宅の近くをゆっくり走ることにした。
うん、我がシルバーウィングはすばらしいパワーを発揮してくれるが、のんびり走っても私を楽しくさせてくれる。
我が家の近くでも、いろいろ興味深い被写体があった。見たこともない花。うむ、この季節、こんな近くに、こんな素敵な花があるとは。
いったん我が家に戻って上着を取り出そうとすると、
玄関先の植木にフライ一匹。
やや日が差している時間、生きるために懸命な虫たちの姿に目を奪われる。
最近、このように小さな生き物が、愛おしく見えることが多くなった。
若い頃だったら、一瞥もしなかっただろうこのフライがなんと大切に見えることか。どうやら、自分の命の先行きが見えてくると、一つ一つの命に憐憫の気がわいてくるもののようだ。
再びシルバーウィングにまたがり、近くの農家にさしかかる。ふと見ると、柿の木の枝先に鳥がついばんだと思われる柿の実一つ。うん、この柿は、私が来るのを待っていたに違いない。久人ぶりに、気に入った写真が撮れそうである。
さて、なかなかいい写真も撮れた。寒くなってきたのでシルバーウィングに帰宅の合図を出そうとすると、空が二つに割れていた。おや、晩秋の空に冬の季節風がつっこんできたようだ。
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