SSブログ

河野義行という聖人 [シルバーウィングでGO]

新聞で河野さんへのインタビュー記事が掲載された。その河野さんが69歳になるそうだ。昭和25年生まれだから団塊の世代には属さない。驚いたのは,古希が近づいたので「世の中から自分の足跡を消す作業を始めています」という言葉だ。世間に名前の通った人なら,「自分の来し方を(本に)まとめて残したい」などと言うところだ。多くの人は何かを残したがるが,河野さんは自分という存在をも人々の記憶から消し去りたいのだろうか。
さて,地下鉄サリン事件に先立って起こったのが松本サリン事件だ。松本サリン事件では河野さんも奥さんも被害者であったにもかかわらず,第一通報者の河野さんが犯人ではないかと警察の取り調べを受けテレビや新聞も犯人扱いを繰り返した。オーム真理教が地下鉄サリン事件を引き起こしたことで,松本サリン事件の捜査の方向が変わり,オーム真理教が裁判所を攻撃する目的でサリンを噴霧したということが明らかになった。下手をすると河野さんがサリンで殺されたかもしれないし,松本サリン事件の犯人として河野さん自身が死刑になっていた可能性もある。
インタビュアーはなんとかして,オーム真理教に対する憎しみや,河野さんを犯人と報道したマスコミに対する怒りとか悔しさを,河野さん自身の口から引きだそうと質問を重ねるが遂に失敗に終わる。
まるで犯人たちを許しているかのような話し方,マスコミに対する不信感や怒りも感じさせない返答に虚脱感さえ覚えるのは私だけだろうか。
河野さんは自分と自分の妻がサリンの被害者であったにもかかわらず,実行者たちの死刑を望まなかった。麻原彰晃等の死刑執行の報に接しても「さみしい」と言ったそうだ。
河野義行さんは希有の人物と言ってよさそうだ。本人は特定の宗教を信仰していないそうだが,その生き方は精神が極めて高いところに上り詰めた聖人を思わせる。
P1080133.JPG
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。