御苑の花見

安部首相が新宿御苑で主催する観桜会が問題になっている。自民党に関係する人だけ集めた，一種の選挙対策になっているのではないかという疑惑だ。
観桜と言えば歴史上有名なのが最晩年の秀吉が主催した醍醐の花見だ。権力を最大に生かし豊臣の時代であることを天下に知らしめた大規模な花見は，ちょうど朝鮮出兵で小西行長や加藤清正が艱難辛苦していた頃と重なる。
安部首相の観桜会を醍醐の花見と同一視は出来ないが，その規模が年々大きくなっているらしく，次第に醍醐の花見に近づいているような印象だ。
大体にしてなぜ首相主催の観桜会が必要なのだろうか。春の園遊会は天皇陛下の主催で行われ，社会で活躍する著名な人が招かれそれなりに意味がある。一方，首相主催の観桜会は，支持者たちへのご褒美として選挙のにおいがぷんぷんする。
しっぽを振って集まる芸人は，まあノンポリの代表みたいな存在だし，寄らば大樹という思いがすけすけだ。ああそうか，芸人はまさに「さくら」なんだ。近頃は客寄せパンダとも言うなあ。多くの識者が批判的にみる中，無批判に甘い蜜に吸い寄せられる無自覚な参加者は恥ずかしさなど覚えるわけもないらしい。集まるのは客寄せパンダの芸人だけではない。地方議員や自治会代表者からPTA会長まで，溝板選挙で実働部隊となる顔役たちだ。
その観桜会に税金が投じられる。その額は，年々膨張しているそうだ。だれか識者の代表が，「選挙違反の疑い濃厚」，「国費の無駄遣い」と訴訟でも起こしてくれないもんかなあ。訴訟費用の一部になるなら寄付してもいい。

皇居の桜